フォトウェディングの衣装決めの日⑦
フォトウェディングの衣装決めの日のやつの通帳残高は5000円だった。やつの現金は5000円しかなかった。もちろん、貯蓄ゼロ。
私を扶養に入れ、私の稼ぎはあてにしないからと、私に仕事を辞めさせ、自身の給料で家族を作るといった男の残金だ。
その前日に私の実家で、焼肉の夕食を皿が空になるまで食べ尽くし、その後残った焼き野菜を生のままで醤油を垂らして食い尽くした男は、その翌日、二人で5000円以上もかかるしゃぶしゃぶバイキングに行きたいと言って、私が断ると態度を豹変させた。
後の話し合いの場で、「力のつくものを食べていなかったから、熱中症になった。」「職場でもそう言われた。」「だから栄養をつけたくて、しゃぶしゃぶバイキングに行きたいと言ったら、ダメだと言われ実力行使に出た。」と、言った。
私は午後10時30分、玄関を開け車を見に行った。駐車場に停めている国産高級車は、ナビの灯りがついていた。車はあった。
「なんだ、いるんじゃん。」と、思った。
運転席の窓をノックする。無視。
数回繰り返す。
運転席のドアノブに手をふれ、開けると開いた!
「鍵かけてないじゃん!開けるのを待っていたのか?」と、思った。
ドアを開けると、やつは国産高級車のハンドルに両足を上げ、シートを倒し、ふんぞり返っている。
「何してるの?いい加減にして下さい。」と、言うと、腕を組み、目をつむったまま、脚で国産高級車のドアを閉めようとした。私の手の力の方が強いのでドアは閉まらず、蹴られそうな勢いなので「私が家にいるから家に入らないのなら、私が出ます!だから、入って来て下さい。」「私が実家に帰ります。準備するので私が出たら、入って来て下さい。」と、言って家に入った。午後11時だった。
母親に電話を掛け、「今から帰ります。終電あるかな?」と、言った。
母親は、「調べたらまだまだあるよ。気をつけて帰っておいで。」と、言った。
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