あんなやつにだまされました

数年前、結婚相談所に入会し初めて紹介された人と半年で成婚退会。入籍して3ヶ月弱、同居して2ヶ月弱で離婚。まんまとだまされました。

フォトウェディングの衣装決めの日④

やつが入浴を済ませたら、私は電気代とガス代の節約のためにすぐに入浴した。

私は、同居を初めてからやつが入浴したらすぐに自分も入浴していた。残り湯で風呂場も洗い、カビを防ぐようにしていた。やつは、風呂の残り湯での洗濯を嫌がったので、浴槽のお湯は無駄なく使い切りたかった。


そうやつは、匂いにも敏感で、ドラム式洗濯機の自動投入口に、洗剤、漂白剤、柔軟剤、ビーズタイプの柔軟剤を全て多めに入れる設定をしていた。私を買い物に連れて行き、「めがねちゃんも良い匂いの衣服だと気持ちいいでしょー!」と、私が、財布から私のクレジットカードを出すまでのぞき込み、「お得だから!」と、大容量タイプの洗剤類を買わせた。

私は、シャワーもやめていたのに。

今でも、その柔軟剤の香りを感じると、吐き気がする。

やつは結婚して妻を扶養に入れ、家族を増やしていくには、自覚も、資格もない人間だった。お金がない。なぜかお金がなかった。

しかし私は、なんとか毎日を一生懸命生きて、生活して結婚を維持していけば、いつかは、普通の家族になれるのではないかと漠然と考えていた。

お風呂掃除をして、洗面所から出ると、リビングの電気が消されていた。

「何?嫌がらせ?」


私は、リビングの照明をつけ晩御飯を作った。出来上がり、寝室に声をかけた。やつは、意外にもすぐに出てきて、無言でうつ病の薬をのんだ。ガシャガシャと大きな音をたてて薬をのんだ。

つまり、「夕食は食べない」ということだ。


「いらないの?」に、無視。

「どこか具合悪いの?」に、無視。


スマホを手に取り、わかりやすく体の向きを変え、脂肪で埋もれた細い目をつりあげて私をにらみつけ、一直線に玄関に向かった。


「どこ行くの?訳がわかんないんだけど!」と、私の投げかけにも応えず出て行った。