フォトウェディングを10日後に控え、衣装合わせに行った。

前日の夕食は実家で父親が焼肉をしてくれた。やつは、その一週間前に職場で熱中症になり３日間仕事を休んだ。その間私は、熱中症に良い食べ物などをネットで調べて食事作りや、薬局に飲み物を買いに走った。「めがねちゃんの違う愛情を感じました！」と、両親に話していた。焼肉を自分なりにゆっくり食べていたが、両親はやつの食べ方が変わったことに気づき気分が優れず、ほとんど食べなかった。やつは全く構わず、焼けたものをバクバクと食べていた。

帰り際に、母親が「写メ送ってね。」と、言ったので「いっぱい送りますよ～!」と、返事していた。

案の定やつはその夜も、夜中にアイスクリームや、食パンそして、実家からもらってきたクッキーなどをむさぼり食った。

衣装合わせは、価格との闘いだった。やつは職場の先輩と後輩からもらったお祝い金10万円で済ますと言った。

シンプルな白のウェディングドレスに可愛い襟や袖をプラスすると一気に25000円とか、30000円アップしてしまう。

私は全然好みではなかったけど、「シンプルが良いわ！」と、言って店員さんのオススメを交わし続けて、なんとか10万円におさめた。やつは、上機嫌でスマホのカメラでバシャバシャと撮っていた。「オレがフォトウェディングをしてあげているのだ！」を、まわりにみせつけていた。

やつが帰りに、パンケーキの店へ行きたいと言って店に向かったが長蛇の列だったので諦めて帰宅することにした。車に乗り、やつはガソリンを入れたいのでアプリで通帳残高を確認したらわずか5000円だった。もう、今月は5000円しかなかった。10日後のフォトウェディングの日にはやつの妹家族も来るのに、もう5000円しかないのだ。

私は、「お昼ごはんにラーメン作るから、もやしを買うね。駐車場代がかかるから、外で待っててね。」と言い、スーパーでもやしを私のお金で買った。結婚してから、私のお金でしか買い物していなかった。

私は帰宅して、ラーメンを作り始めた。やつはお気に入りの抱きまくらで横になりこう言った。

「ねぇ〜。お昼ごはんをガマンするから、夜はしゃぶしゃぶバイキングに行こう！」

私は、めまいがするのを堪えて深呼吸してこう言った。

「通帳の残高がいくらなのかわかってます？」

やつは信じられないくらいの恐ろしい形相で私を睨み付け、寝室へ行った。