結婚生活を維持するために毎日必死だった。冷静に考えればわかることも、初めて他人と暮らし、家族を作るのだからこんなものなのかと思っていた。

大好きな人と恋愛して結ばれたのではない。条件の合う人と暮らしながら家族を作るお見合い結婚をしたのだ。仲人Aさんにもお互いに歩みよって仲良く暮らしていくものだと言われたのだから。

やつは、太っちょなので異常なくらいの暑がりだった。

「今から帰るよ。」のラインがくると、まずはお風呂に湯をはる。43度の熱々を。

そして、寝室を最低温度に設定してキンキンに冷やす。

やつは、帰宅し入浴してたっぷり温まったら、キンキンで体を冷やすのだ。

食事の準備でお湯はりが遅れると、「もおー。旦那様がわざわざラインしてる意味ないじゃん!」と、ネチネチ言った。

私は、やつが体を冷やしている間に大急ぎで入浴する。ガスを切り節約のためにすぐに入浴する。追い焚きなどもってのほかだった。

夕食にやつは毎食3合平らげた。お味噌汁は鍋いっぱいに野菜やきのこでかさ増しして作っても、全部飲み干した。

弁当も持って行くので、お米が底をつく。父から「足らないものはないか？」と聞かれたのですかさず、「お米！」と、こたえて送ってもらった。

夕食の片付けをし、洗濯物を干していると、「ねぇ。まだ？」と、聞く。私が、干し終えたら寝室に誘い、「はい、待ってました奥さん。腰を踏んでもらいましょう。」と、最低温度に設定した凍えそうな寝室で腰を踏み、湿布を貼る。「今日もめちゃくちゃ疲れたんだよ。もうボロボロだよ。でも、めがねちゃんを養わなきゃならないからね。」と、言う。

そして、「スキンシップ！」と言いタプタプのお腹と、しなしなで年配の力士みたいに体の横に垂れ放題のおっぱいを私の体につけてくる。私が、「離れないと、眠れない。」と言うと、かわいくもないのにくちびるを尖らせ「めがねちゃんは冷たいなぁ～。」と、私のせいにする。そして五分後、自分は睡眠薬と、うつの薬でたかいびきで寝る。

それから、せん妄の寝言と、夜中の食パンやアイスクリームのむさぼり食いが始まる。

私は、やつが寝たらあまりの寒さに毛布を出す。

ある日、寝たと思っていたのにまだ起きていて、「なんなの？嫌がらせ？温度上げたいの？僕がこんなに暑いのに?そんなものかぶったら僕が悪いみたいじゃん！」と、毛布をとりあげた。

リビングでも同じで、凍えそうなので長袖の上着を着ようとしたら、「なんなの？僕が悪いみたいじゃん！」と、着せてもらえなかった。

やつは、モラハラも酷かった。

私はどんどん疲弊していった。